映画『トランスワールド』で究極のアハ体験

映画じかん

あらすじの前に一言

今まだこの映画をご覧になっていない方は、

そっとこのページを閉じてください。

そして、何も調べずにこの映画を見てください。

大事なことなのでもう一度言いますが

絶対に何も調べずに見てください

…なぜならあらすじでこの物語の半分ぐらいがネタバレしているからです。

あらすじ

森の中に迷い込んだ3人の見知らぬ男女を待ち受ける奇妙な運命を描いたサスペンスミステリー。とある森の奥深く。夫とドライブ中にガス欠に陥り、ガソリンを買いに行ったまま戻ってこない夫を探していたサマンサは、1軒のキャビンにたどり着く。するとそこに、同じように車のトラブルに見舞われた青年トムが出現。さらに、今度はジョディという女がやって来る。ジョディは恋人と強盗をしてきたばかりで、なぜキャビンにたどり着いたのかわからないという。3人は助けを求めに森を出ようとするが、いつの間にか同じキャビンに戻ってきてしまう。さらに、3人がやって来たのはそれぞれ別の場所や時代であることが判明する。出演は「シャーク・ナイト」のサラ・パクストン、「フューリー」のスコット・イーストウッド、「インヒアレント・ヴァイス」のキャサリン・ウォーターストーン。

主人公と一緒に体験

事前情報全くなしで視聴して大正解

彼らと一緒に過ごしていく中で、徐々に明らかになっていく感じが面白かった。

なのに、観終わった後に日本版のポスターを見て、

1番大事なところをネタバレしちゃってるの、マーケティング失敗し過ぎてて笑った。

主な舞台が小屋で、主に出てくるのが3人だけなので、

わかりやすく細かい伏線が張られていて、

ちょっとした小物や発言の違和感が積み重なるような感じで

謎を解いていくのが楽しかった。

小さな違和感は最大の気づき

まず最初の違和感は、トムがサマンサの車を「クラシック」と表現したところ。

サマンサはマッチを使い、ライターを使うジュディへは「良いライターね」と伝える。

ジュディの新品の上着を、トムは「古臭い上着」と言う。

ジュディが言う映画のタイトル”脱出”をサマンサは知らず、“パックマン”を知らないトム。

相容れない3人であることの表現にも見えるが、

嚙み合っていないっていない会話は全て伏線であった。

年代を表すものは

具体的に年代を示すものとしては、

序盤でトムが持っていた新聞の日付がアップになり、

2011年11月21日発行とあるため、

視聴者はこの映画は2011年が舞台であると認識したはず。

すぐ火種にされるのでサマンサは見ていない。

サマンサとジュディは共に父を戦争で亡くしたと語ったとき、

思わず視聴者として「え、祖父じゃないの?」と違和感を覚える。

また温度計を指すシーンでは、華氏ではなく摂氏で表記されており、

舞台となる場所はアメリカなのだろうかと言うところにも疑問が出てくる。

トランスワールドが判明

そうして、この3人はお互いが異なる年代

異なる場所から同じこの小屋に辿り着いたことが判明する。

また、自分が死ぬ場面を夢に見るという共通点もわかる。

ループする小屋の中で途方に暮れる中、4人目の登場人物ハンスが出てくる。

ループからの脱出方法は3人の先祖であり

家庭崩壊の間接的な原因になった「ハンスの死を覆すこと」と判明。

ハンスの死因となった空爆を阻止するために3人は奔走する中で、

ジュディが撃たれて死亡した段階でトムも消滅し、

ハンスが空爆から生き延びたところでサマンサが消滅する。

変化した未来

ループから脱却し、未来が変わる

気品のあるお嬢さんとしてコンビニを訪れるジュディの姿。

コンビニの棚には、小屋でサマンサが見つけた

クルクル回るメリーゴーラウンドのおもちゃが置いてある。

店主が「道案内は?」と問うと、ジュディは「道はわかってる」と答えるのは、

“どん詰まり”で道を外れていたジュディの人生が、正しい道に戻ったことを表している。

ハンスは慈善家として成功して人生を全うし、

ジュディと共に幸せそうに歩くサマンサの姿があった。

トムの行方

ハッピーエンドを迎えたと思われたが、トムはどうなったのだろうか?

…答えは、“消滅した”のだろう。

トムの誕生日は1985年12月12日、

エンディングの花束を包んでいた新聞が1985年10月10日発行であるが、

ジュディは妊娠後期には見えない

また、トムの父であるはずの男は、

別の女性と一緒にまたコンビニ強盗をしているシーンが映っている。

そのため、世界はトムが生まれなかった世界線へと移ったのだろう。

鍵はメリーゴーランド

この人生のやり直しの仕組みについて、

鍵を握っているのはやはりコンビニの店主であろう。

物語の冒頭で、強盗に入ったジュディは金庫の中身を盗もうとしていたが、

これに対して店主は「中身は気に入らないだろう」と皮肉めいた言葉を返し

「面白い人生を送っているな。どん詰まりなのに気にしてない。」

とジュディの過去や境遇を見透かしたような台詞を言う。

ジュディは撃ち、目を閉じる。

そしてあのループから抜け出した後、

ジュディはまた同じ場所で、今度はお嬢さんとして目を開けることになる。

あの小屋にはこのコンビニの棚にあったメリーゴーランドが置いてあり、繋がりが示唆されている。

金庫の中身は”気に入らないもの”

…つまり、今の境遇を変えるチャンスであるが、

変わるかどうかは自分の努力次第といったところだろうか。

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