続編だけど『エスターファースト・キル』はちゃんとどんでん返しがあった

映画じかん

『エスター ファースト・キル』を公開日に鑑賞してきました。

楽しみにしていた作品で、思った以上に楽しめました。

臨床心理士の視点でみたエスターの見立てや、作品を通しての考察をしてみました。

重要なネタバレを含んでいるため、鑑賞後に読んでいただけると嬉しいです。

あらすじ

行方不明になってから4年ー
10歳になって戻った娘は、何かがおかしい。

2007年、アメリカで暮らすオルブライト家は、4年前に6歳で行方不明となった愛娘エスターの失踪事件に今なお心を痛めていた。そんなある日、エスターが保護されたという思いがけない知らせが夫妻のもとに届く。この奇跡のような出来事を手放しで喜ぶ一家。驚くほど成長したエスターは聡明で才能も豊か。画家の父親に昔以上にべったりだった。また、あの幸せな時が帰ってくるー。

だが、母親は知っていた。この娘が別人だということを。

あなたは絶対にこの衝撃に耐えられない

クライマックスで明かされた“驚愕の真実”が、あらゆる観客のド肝を抜き、さまざまなメディアや映画ファンが選定する“どんでん返し映画”ランキングの常連作品となった前作、『エスター』。       
  日本でも大反響を呼び起こした前作から14年、その“エピソード0”となる『エスター ファースト・キル』が完成した。

エスターの過去に、いったい何があったのか。
エスターが“生み出された”理由とは?
そこには、我々の常識をはるかに超えた、強烈な仕掛けと驚きが待っていた・・・!

3月31日(金)公開、映画「エスター(ファーストキル)」 – 行方不明になってから4年ー  10歳になって戻った娘は、何かがおかしい。

公式サイトより引用

23歳が演じた9歳児

1作目を観ていたので、その2作目として前日譚が制作されると発表されてから公開を楽しみにしていた作品。

当時エスターを演じた、イザベル・ファーマン(現在26歳)が再びエスター役を演じると聞き、心待ちにしていた。

撮影時は23歳、前作よりさらに若い9歳児のエスターを演じることはできたのか?

久々にみたエスターは

やはり、大人にしか見えなかった。

1作目でネタバレを食らってるのと、実際23歳の人が演じてるって知ってるから、先入観に勝てなかった。

顔立ちがふっくらじゃなくてスッとしてたり、大人と並んだ時に顔が大きかったり…

大人と並ぶ時の前からのカットは上半身だけ、

後ろからは全身だったり(後ろ姿は本当の子役で代役立ててる?)

工夫と頑張りを感じてしまった。

でも私の隣で見てた女性二人組が「本当に子供が演じてるんだね」って話してたため、素直な目で見ればちゃんと子どもに見えるのかもしれない。

今作も大きなドンデン返しあり!

サブタイトルが”ファーストキル”だけれども、エスターさん全然ファーストキルじゃなさそうなんだが?

最初っから全開でエスターしていたので、そこはご安心を!

子どもとして家庭に紛れ込む“という展開は前作と同じ。

前作の最大のギミックである”実は30歳超えの殺人鬼“という肩書きを、我々は既に知ってしまってるため、これ以上どこで観客を楽しませてくれるのかなと期待してたら…やってくれた!

実は、行方不明になった本当の娘は、兄妹喧嘩の末死んでしまっていた。つまり、遺体を処理した母親と殺した兄は、見つかった娘が別人であると分かっていながら引き取ったのだった。

(思ったんだけど、あらすじの時点で”別人と知っていた”っていう大きなギミックをネタバレしてるよね?いいの?笑)

母親もなかなかのクレイジーぶりで、エスターが療養所から抜け出してきたヤバい奴と知りながら、手を組もうとし、なんなら上手に立とうとするあたりヒヤヒヤした。

そしてエスターを舐めすぎていた結果があの様。

弱点は“愛“

映画の最初は思っていた通りのエスター。

自分の目的(=自由)のため、誰彼構わず利用して、邪魔なものは殺す。

サクッと金目の物を盗んで、また自由を求めて行くのかなと思ったら、”父”に惹かれて踏みとどまった。

前作でも、一家の”父”に愛求めた結果暴走し、返り討ちにあっていたし、エスターが我を忘れるほど渇望するものであり、弱点なのかもしれない。

エスターはその姿ゆえに、”女性”として求められたり、愛された経験が欠如していると考えられる。

そもそも愛自体に飢えているのだろう。

エスターが自分の持っているもので勝ち取れる愛は、親からの愛だけだった。

だからエスターは、エスターにしかできないやり方で、ただただ愛を求めていただけなのかも。

エスターの中にある人間らしさ

エスターと母は、お互いに予想外の展開になりつつも、利害が一致し双方生き延びる。

「どこかに行くから見逃して」というしおらしいエスターは可愛く思えた。

そんな母から出された食事に毒物が混ぜられていたと知った時、エスターは激しく癇癪を起こす。

利害関係だったとはいえ、同じ方を向いて生きてくれる人の存在は、エスターにとって特別だったのではないか。

エスターは裏切られた気持ちでいっぱいに違いない。

そこで完全に決別し、ネズミ入りスムージーはエスターからの宣戦布告の証だろう。

1作目はエスターの狂気と異常性にスポットを当てていたが、今作はかえってエスターに人間らしさを感じるシーンもあった様に思う。

自由を求め、目的のために何でもする殺戮マシーン…ではない。

愛を渇望する姿は前作にもあったが、今作では他人を信じようとしてみたり、裏切られたことに心を乱したりしていた。

他者との心の交流を求めている様な、人間らしさ一面も。

エスターは、思い通りにならないとすぐ癇癪を起こすキャパのなさに、父性に焦がれるという愛着の課題、小さい身体に大人の脳みそを突っ込んだ身体的なポテンシャルから、あの狂気を生んでいるのかなぁ…と。

何が”エスター”作り出したのか、エスターの幼少期から遡って知りたいと思った。

元々が問題だらけの家族だった

そもそもこの家は、元のエスターがいなくなる前から既に、機能不全家族であったのだろうと推測できる。

兄妹喧嘩で妹を殺してしまうくらいの兄の攻撃性の高さは異常。

衝動性、判断力の欠如も懸念点。

それほどまでにフラストレーションが溜まる環境にあったのだと考えられる。

4年でフェンシングのチャンピオンになった」という話題にあったが、兄の攻撃性を社会に適応した形で発散させるところに繋げたのは、家族としてナイス判断だった。

凝らされた妹である元のエスターも、どうやら継続的にカウンセリングに通っていた様子。

通っていた理由は明らかになっていないが、母は「ハッピーエンドの主人公」という肩書きをエスターに求めていた。

名家の子どもを演じなければならないプレッシャーが、元のエスターを苦しめていたのではないかと推測できる。

ホラーじゃなくて、ダークコメディ?

いないと思ったら、いる。いると思ってたら、いない。

エスターの怖さはそこ。(不死身すぎない?)

ホラーとしての怖さはなし。残酷描写ありの、ダークコメディ寄りの話だった印象。

是非1作目を観てから、劇場で前日譚を観てほしい。

(順番間違えないでね!)

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