以下、ネタバレありの感想と考察になるので、ご注意ください。
あらすじ
出兵していた敷島浩一(神木隆之介)は日本へ帰還するが、東京は焼け野原と化し、両親は亡くなっていた。
人々が日々を懸命に生き抜いていく中、浩一は単身東京で暮らす大石典子(浜辺美波)に出会う。
しかし、これから国を立て直そうとする人々を脅かすように、謎の巨大怪獣が現れて……
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原爆とゴジラ
原爆をゴジラに置き換えているイメージだった。
そもそもゴジラの誕生は水爆実験がルーツとのこと。以下、引用。
ゴジラはもともと、深海で生き延びていた約1億4000万年前の恐竜だった。 それが度重なる水爆実験によって眠りからさめ、水爆エネルギーを全身に充満させた巨大怪獣となって人類に襲いかかるのであった。 この怪獣は、最初に姿を現した大戸島の伝説によって「ゴジラ」と呼ばれた。
引用サイト
ゴジラ自体が放射能で出来ていて、放射能を浴びて成長するって設定なのもあり、原爆・放射能・ゴジラは切っても切れない関係。
敷島の心の病
戦時中では当たり前だった理不尽な特攻隊。
敷島(神木隆之介)は戦争のPTSDとサバイバーズギルドで、戦争が終わってもなお苦しみ続けていた。
呪いのようにずっと、自分は幸せになってはいけない、と思っていたのだろう。
典子(浜辺美波)に支えられながら日常を送ることで癒されつつあったけど、抱えたトラウマはずっと心の奥底に蓋したまま。
ゴジラとの再会をきっかけに、トラウマになった出来事をやっと言葉にして外に出せた。
時間をかけて関係を作ってきた相手だからこそ、信頼していたからこその開示。
その矢先、トラウマになった出来事と重なるようにゴジラのせいで浜辺美波を失う。
第二の喪失体験となるが、”復讐”の思いがエネルギーとなり、奔走し、”復讐”を理由に自死に走る。
そんな時、トラウマに呪いをかけたきっかけでもある橘(青木崇高)に「生きろ」と言われた。
他の誰でもなく、橘(青木崇高)にそう言われることで、敷島(神木隆之介)にとっては許された経験になる。
でもそれは、この時だからこそ効力を発揮する物。
時間をかけて心を癒し、大切な仲間たちができ、大石典子(浜辺美波)にも「生きて」と言われていたから、敷島(神木隆之介)は生きる方を選択したのだと思う。
ラストシーンの黒いアザ
また、ラストシーンで大石典子(浜辺美波)の首筋に黒いのが侵食する感じが描かれてたのも、ゴジラの熱線(放射線)による爆風を浴びたことで原爆症を発症する未来を意味してそう。
事実として戦争は終わり、自分の中でも区切りをつけられたとしても、これから原爆の後遺症が待ってると考えると、ハッピーエンドとは言えないかもしれない。
それにしても、あの爆風に吹っ飛ばされて大石典子(浜辺美波)が生きてるとは思えない有様だった。
会いに行った時、火傷で顔面ぐちゃぐちゃとか、寝たきりとか想像してたけど、1〜2週間経った後だとしても思ってたよりだいぶ軽傷だった。
実はカメオ出演していた人物
死体が出てこないあたり、生きてるんだろうなとは思っていて、たまたまその前に一瞬橋爪功が映ったから、「橋爪功が実は医師で大石典子(浜辺美波)助けてた」っていうオチを予想してたんだけど全然違った(笑)。
橋爪功みたいな出方するの、カメオ出演って言うんだね。
二人の未来
放射能が混ざった黒い雨も、原爆のエピソードで有名な話。
敷島(神木隆之介)はもろに黒い雨を浴びており、大石典子(浜辺美波)はゴジラの熱線(放射能)の爆風を受けている。
二人の被曝量は相当なもの。
おそらく、今後放射能の影響で、原爆の後遺症に犯されることになるだろう。
戦争が終わり、やっと幸せで平穏な日々を掴み取ったと思ったが、どうやらそうはいかないようだ。
二人とも長くは生きられないだろう。
感想
自信を持って誰にでもおすすめしたい1作品だった。
最初から最後まで涙が止まらない。
家族の未来を守るために戦うけど、そのために自分を犠牲にすることはせず、誰にも貧乏くじを引かせず、みんなが平等に生きるべきだ…というのがこの映画を観終わった時に受け取ったメッセージ。
ゴジラのテーマ曲って、ゴジラが攻めてきて街を蹂躙せる時に流れるイメージだったんだけど、今回はゴジラに立ち向かう時に流れたからワクワクした。
とにかくキャスティングがベストマッチし過ぎてて、みんなが最高に良かった。
頼りになる兄貴って感じの佐々木蔵之介、下っ端感あるけど仲間思いの山田裕貴、頭脳で戦う吉岡秀隆。山田裕貴に未来を託す、2人の姿は本当にかっこよかったし泣けた。
無駄なシーンは一切なくて、かつ、絵として印象に残るシーンが多かった。
大石典子(浜辺美波)が電車で宙吊りになったり、ボロボロの船でゴジラと戦ったり、作戦失敗で絶望感漂う所に仲間引き連れて助っ人に山田裕貴が参上するシーンは胸熱。
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