あらすじ
幼い頃に交通事故で頭部を負傷し、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれた女性。
ある日、追われる身となり逃亡を図る彼女は、少年の姿となって孤独な消防士の男の前に現れる。
彼は彼女を10年前に失踪した息子と思い込み、2人は奇妙な共同生活を始めることになる。
映画好きにはたまらない作品
幼少期の自動車事故で頭部にチタンを埋め込まれた主人公の行く末を描いた物語。
恋人や家族とは論外、友だちとも見るにはあんまりオススメできない作品(笑)
ひとりでじっくり見てほしい!
映画が好きなら間違いなく考察しがいがある一作。
アレクシアの人生
主人公アレクシアの人生について考えてみる。
頭部にチタンを埋め込まれたことが原因で人生が変わったのかと思うかもしれないが、それはきっかけに過ぎない。
そもそもの家族関係やアレクシアが持っていた特性が、事故というトラウマの影響を受け、成長と共に反社会性が育っていった。
トラウマからの幻覚や妄想を、視聴者はアレクシアと共に体験することになる。
そして私たちは、アレクシアの行為へ共感しようとしても難しいことに気がつく。
それは、アレクシアにとって1番のトラウマを視聴者は体験していないからなのだろう。
アレクシアのトラウマ
アレクシアにとって1番のトラウマは、おそらく実父からの性的虐待と想像される。
そしてアレクシアが妊娠したのは父親の子どもだろう。
映画内では直接表現されていないが、
①父親とキッチンでお互いをいないもののように接している関係性
②医師である父がアレクシアの妊娠を指摘しない
③家に火をつけて両親を殺す
④火をつける夜中、父とアレクシアの目が合う
…という4点から言える。
つまり、アレクシアにとってお腹にいる子どもこそトラウマそのもの。
そして、”出産“=“トラウマからの解放“と見て良いと思う。
父子関係の再構築
アレクシアは、実父とは築けなかった父子関係を、ヴィンセントと育て直していく。
そして、アレクシアはヴィンセントへ男女の関係を迫るが、ヴィンセントは明確に拒否をする。
それこそが、実父とヴィンセントの違いである。
ヴィンセントに拒否されることで、アレクシアはトラウマから解放された。
トラウマからの解放を意味するもの
ここからは少し飛躍しているかもしれないが、本当は幼少期の事故でアレクシアは死んでいたはずだったと考えられる。
アレクシアは、トラウマ(チタン)によって生かされており、トラウマが解放されたこと(=チタンが壊れる)によって命を落としたのかもしれない。
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