金曜ロードショーで偶然観た『ミラベルと魔法だらけの家』でしたが、観た瞬間からどハマりしてしまい、気づけばDisney+に加入して何十回も見返すほどになっていました。とにかくストーリーも登場人物も魅力的で、私の大好きな要素がぎゅっと詰め込まれた作品です。まさかこんな作品だとは知らず、映画館に観に行かなかった過去の自分にドロップキックしたい気持ちになりました。
おそらく、私と同じようにミラベルの本当の魅力にまだ気づいていない人も多いのではと思い、今回この記事を書いています。
あらすじ
舞台は、コロンビアの山中に隠された活気あふれる町。エンカントと呼ばれる不思議な場所に建つ魔法の家で、マドリガル一家は暮らしています。エンカントの魔法は、怪力や癒し、未来予知など、家族の子どもたち全員に特別な才能を与えてきました。
しかし、ミラベルだけは何の魔法も授からなかった存在です。それでも、家に満ちた魔法が危機にさらされたとき、「普通の人間」であるミラベルこそが、家族の最後の希望になることに気づいていきます。

音楽と映像表現の魅力
アナ雪要素とリメンバー・ミー要素を取り入れつつ、しっかりとコロンビアらしさを感じられる作品です。物語冒頭からテンポがよく、朝起きて家の中を走り回るシーンは、観ているこちらまで自然と気分が上がりました。
特に驚いたのは映像の作り込みです。糸一本まで描かれた衣装や、服・インテリア・お皿の細かな模様、さらにはルイーサのうなじの産毛一本まで見えてしまうほどの精密さ。情報量が多いのにうるさく感じず、ただただ見入ってしまう映像美でした。

ブルーノの描かれ方が切ない理由
個人的に、この作品でいちばん境遇がつらいのはブルーノだと思っています。家族団欒を壁の中から眺めながら一人で食事をしていたことがわかるシーンや、ミラベルから「落ち着くでしょ」とぬいぐるみを渡される場面は、胸が締め付けられるようでした。
未来を見ているときにブルーノの目がグリーンになるのは、ミラベルのグリーンのメガネとどこか共鳴しているようにも見えます。まるで、ミラベルが未来を変える存在であることを示唆しているようでした。
ブルーノがおまじないに固執していたのも、良くない未来を見てしまったとき、それが現実にならないよう頼れるものが神様しかなかったからではないでしょうか。それもまた孤独です。誰よりも家族を想い、誰よりも家族のために行動していたブルーノが、最後に報われて本当に良かったと思いました。
ミラベルに魔法がなかった理由を考える
ミラベルがイサベラとハグをした瞬間、家のヒビが一時的に修復されたシーンがあります。あれは、家族の絆が修復されたことに家が呼応していたように見えました。最終的に家が崩れてしまったのは、家族の気持ちがバラバラになってしまったからだと思います。
弱い自分でも、できない自分でも、「それでも受け入れてもらえる」と実感できること。それが心の健康につながり、幸福を感じることができるのではないでしょうか。
ミラベルが儀式をしたとき、おばあちゃんは「どんな力だとしても、あなたと同じように特別」と言っていました。しかし、アントニオが魔法を授かった際には、ミラベルの存在を忘れて家族写真を撮ってしまいます。魔法ばかりを見て、その人自身を見なくなっていたからこそ、家にヒビが入ったのではないかと思いました。
家族の絆を修復する存在こそミラベルであり、それがミラベルの魔法だったのだと感じました。
ミラベルが家のドアノブを取り付けた時、扉には家族みんなの姿が描かれ、同時に魔法の力を取り戻しました。つまり、ミラベルはみんなの魔法を修復してあげた存在ということです。
ではなぜミラベルはギフトを授からなかったとされたのでしょうか。それは魔法を授かる儀式をしたときには、まだミラベルの魔法が必要がなかったからです。だからその時は、魔法として現れなかったんだろうなと思います。
また、家族の持つ魔法は、その人自身が大好きなものや大切にしているものに起因しているようでした。イザベラは美しいものが好きだし、ルイーサは人の役に立つのが好きで、アントニオは動物が好きでした。カミロは人を驚かせるのが好きで、ドロレスは引っ込み思案だけど相手を思いやりたいからなんて言っているかを知りたいのだと思います。ミラベルは家族が好きだから、家族に関連するギフトを授かったに違いありません。

イサベラが抱えていた「完璧さ」へのプレッシャー
顔の彫りが深くて、泣きぼくろがあって、眉毛はっきりの黒髪ロングで、南米系の美人さん。初見の私はまずイサベラが推しキャラになりました。女性の憧れる姿そのものです。
イサベラはとにかく美しく、花に囲まれた優雅な身のこなしや、桃色・水色・紫色に包まれた世界観が印象的です。しかし、その完璧さは周囲の期待によって作られたものでした。
「家族のためにやっていただけ」。本当は好きなものを我慢し続けていたからこそ、どこかイライラしていたのだと思います。サボテンが生えたのは、本音が思わず漏れた瞬間だったのでしょう。
その本音を否定せず、ミラベルが一緒に受け入れたことで、イサベラは自分らしさを取り戻していきました。みんなの求める完璧ではなく、あるがままの自分を表現できるようになり、どこかイライラしてたイサベラが落ち着きました。

ドロレス黒幕説についての考察
何度も映画を繰り返し観ているうちに、私の推しはドロレスになりました。調べてみると、どうやらドロレス黒幕説というのがよく流れてきます。
個人的には黒幕説には反対です。確かに、この一件でマリアーノ奪取が成功して得をしているし、遠くの声まで聞こえるっていうギフトは悪巧みに活用できそうなのは間違いないです。ブルーノの声が聞こえていたのに放置していた点や、ミラベルへの皮肉な発言から疑われがちなのは事実です。
しかし「秘密のブルーノ」の中で、ドロレスだけはブルーノを心配するようなニュアンスの発言をしています。本当は噂通りの人物ではないと、最初からわかっていたのではないでしょうか。
背景に映るブルーノの影も、共犯というより「気づいていた存在」としての演出だと感じました。

マドリガル家の魔法の継承と未来像
ミラベルの母世代の魔法は、天気・回復・未来予知といった、生死に直接関わるものが中心です。一方、ミラベル世代は怪力や花を咲かせる力、超聴力、動物と話せる能力など、生活を豊かにするプラスαの魔法が多くなっています。
世代を重ねるごとに魔法は実用的なものではなくなり、いつか魔法に頼らなくても生きていける村になる。そんな未来も想像できました。

東京ディズニーランドのショーでの扱い
2024年9月20日から東京ディズニーランドで始まったナイトタイムエンターテインメント「Reach for the Stars」では、ルイーサの「増していくプレッシャー」が採用されています。意外な選曲ですが、実際にショーを観るととてもよく合っていました。
ミラベルの楽曲が使われるとは思っていなかったので、実際にショーを見たときには思わず声が出てしまいました。

ミラベル関連コンテンツの今後の展開
アメリカ・オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでは、ミラベルをテーマにしたライドアトラクションが2027年にアニマルキングダムへ登場予定と発表されています。
それに先立ち、期間限定ショーや各地でのグリーティングも増えており、今後の展開がとても楽しみです。いつかドロレスのグリーティングが実現することを願っています。
まとめ
ミラベルは魔法がなかったのではなく、家族の魔法を修復する存在だったのだと思います。だからこそ、誰よりも家族を見て、誰よりも家族をつなぐ役割を担っていたのでしょう。
観るたびに違う視点で刺さる、とても奥行きのある作品です。



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