『ブレイン・ゲーム』みんな結末を誤解している?!

映画考察

Amazonプライムビデオで視聴できる洋画「ブレイン・ゲーム」を鑑賞したので、考察していきます。

あらすじ

連続殺人事件を追うFBI捜査官(ジェフリー・ディーン・モーガン)と彼の相棒(アビー・コーニッシュ)は、捜査に行き詰まっていた。そこで、同僚だったアナリストで予知能力を持つクランシー博士(アンソニー・ホプキンス)に協力を仰ぐ。まな娘が死んでからひっそりと暮らしていたクランシーは、事件に強く引き付けられ、捜査に加わる。クランシーは、容疑者(コリン・ファレル)に自分よりも優れた予知能力があることに気が付く。

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超能力がなじむ作品

さて、この作品は娘を白血病で亡くしてから医師を辞めたジョンが主人公。

彼はリーディング能力で現場の痕跡を読み取り、犯人を追い詰めることでストーリーは展開してゆく。

予知能力の中でも、触れた物or者の過去と未来の断片的な記憶が見える力だが、ジョン自身は超能力者と呼ぶよりは、”異常にカンが鋭い者の延長上”としている。

医師という立場で、あくまで科学的であろうとするため、FBIからの信頼も厚い。

ジョンの少し先の未来を見ながら最悪を回避して行動する戦い方が、まさしくブレインゲームという感じがして、異能力者の定番ではあるが面白い。

隠されたギミック

この作品は、主人公ジョンと同じ能力を持ちながら、より強力な力を持つアンブローズが宿敵となっている。

アンブローズは自身の能力を使い、苦しみながら死を迎えるはずの者たちを”安楽死”させることで救済しているのだと言う。
 
すると、1つおかしな場面が出てくる。

それは、ラストの対決でジョンが「彼女は対象外のはずだ。なぜ殺す?」と問うたのに対して「もちろん殺さない。彼女は健康だ。君は彼女のために俺を殺すのさ。」と答えている。

この場面のアンブローズの言葉をよくよく噛み砕くと、回答になっていない

結果的には、ジョンが運命を変え、アンブローズが死んだこととなるが、ジョンは運命を変えるような特別変わった行動は起こしていない

と言うことは、アンブローズは既にエンドロールまでの経緯を全て把握した上で、自分が死ぬ未来を選択したと言うことになる。

つまり、格下の能力を有するジョンの見ている未来が変わろうと、アンブローズの見ている未来はその変わった未来であり、選択権はアンブローズの方が上ということになる。

となると、なぜアンブローズは自分が死ぬ未来を選択したのだろうか?

アンブローズが死んでしまうと、彼の“安楽死”を用いた救済の計画が途絶えてしまう。

アンブローズの見ていた未来でも、アンブローズがキャサリンを撃つ未来があったと考えられる。

しかし、それはアンブローズの信念に反してしまう。

キャサリンを撃たないようにする未来は、アンブローズが撃たれる未来であった。

結果的に自分は死ぬこととなるが、この映画が全て彼の掌の上であったとしたらどうだろう?


アンブローズはこの計画を同じ能力を持つものに引き継ぐこと、つまりジョンに計画を託すこと、それこそが真の計画だったのかもしれない。

ラストに隠された結末

愛を持った殺人は罪ではなく、救済なのだというのがラストのジョンの回想での結論になる。


痛みに耐えかねて解放してくれと泣き叫ぶ姿を見て、ジョンは娘を苦痛から開放した。

アンブローズの思想はこの”苦痛”を味わう前に救済を与えるというものだった。


つまり、ジョンの行為とアンブローズの行為の本質は少しも変わらないのだ。

娘の死を通し、殺人者として家族を遠ざけたジョン。

事件を通して救済者としての自身を認識したことで、妻との再会を決意する。


そして、アンブローズの見たビジョン通りに、報われない者たちを救済する後継者になることとなる。

アンブローズの語りでもあったが、彼は普通の家庭で育ち、社会に溶け込んでいた。ジョンも同様に、これから普通の社会生活を送りながら、救済を行なっていくのだろう。

つまりこの作品は、ゾクっとするバッドエンドであった。

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