大和市4児不審死の事件で、
県や市が、母親の代理ミュンヒハウゼン症候群を疑って対応していたと話題になっています。
そこで、代理ミュンヒハウゼン症候群についてまとめました。
代理ミュンヒハウゼン症候群とは?
例えば…
あなたが風邪をひいたとき、普段口うるさい母親が、親身になって心配し優しくしてくれます。
そんな時「いつもこうだったら良いのにな」と思いませんか?
その優しさを求め、今度は仮病を使ってみます。
しめしめと味を占めたあなたは、仮病を使うと母親が優しくしてくれると学習します。
そして、いつの間にか仮病をやめられなくなってしまうのです。
それがエスカレートすると、今度は仮病が嘘だとバレてしまうことを恐れます。
バレないために、今度は自分で自分を傷つけ、症状を本物にします。
そうすると、また母親に心配してもらえます。
これが、ミュンヒハウゼン症候群という精神疾患です。
代理ミュンヒハウゼン症候群とは、ミュンヒハウゼン症候群の一形態です。
傷害の対象が自分自身ではなく、子どもになります。
子どもを熱心に看病する自分が、周囲から『頑張っている』『大変な母親』という同情や称賛が集っている状態が心地良いと感じます。
子どもが病気や怪我をしたと虚偽の報告をしたり、飲まなくて良いような薬を飲ませて症状を起こしたり、故意に怪我させます。
虐待対応の現場でも特殊な事例
子どもに病気を作り、かいがいしく面倒をみることにより自らの心の安定をはかる代理ミュンヒハウゼン症候群は、子どもの虐待における特殊型です。
加害者は母親が多く、医師がその子どもに様々な検査や治療が必要であると誤診するような、巧妙な虚偽や症状を捏造します。
加害者は自分が満足できる結果がでて、処置をしてもらえるまで「その」状態を続けるため、必要のない検査が延々と続くことになります。
加害者が医療者の注意を十分に引きつけることができないと、子どもの症状がどんどん重篤になり、致死的な手段もいとわなくなることがあるので、十分注意が必要です。
しかし、医療者が疑いを持つと、急に来院しなくなったり、別の医療機関を受診したり、これまでに学習した知識を基に、さらに巧妙な症状をつくりだすこともあります。
一般的に加害者は、医師に“熱心な母親である”という印象を与えます。
「この母親が虐待などするはずがない」と、思わせることがまれではありません。
疑うポイント
医師でも見分けるのが非常に困難な症例ですが、ポイントがいくつかあるので紹介します。
- 持続的、あるいは反復する症状が見られる。
- 子どもの全身状態は良いのにもかかわらず、養育者は危機的な症状や重篤な検査結果を伴う病歴を訴える。
- 子どもの側を離れようとせず、よく面倒をみているようにみえるが、重篤な臨床状況に直面しても あわてるそぶりがみられない。
- 養育者と分離すると、症状が落ち着く。
- 通常の診療において有効な治療が無効である。
- 過去にいくつもの医療機関を受診している。(その過程で、加害者は医学的な知識を増やしている)
参考:日本小児科学会
あの有名な芸能人はどうなの?
代理ミュンヒハウゼン症候群と検索をすると、
歌舞伎役者の海老蔵さんや
元アイドルの辻希美さんの名前がヒットします。
お二人とも、子育ての様子をアップするブロガーとして有名ですよね。
海老蔵さんは、奥さんである真央さんがお亡くなりになった後にも、ブログのアップが続いたことから、可哀そうな夫であり、父親だとアピールしているっていう誹謗中傷から始まっているようです。
お子さんは大きな怪我や病気もなく元気に成長しており、代理ミュンヒハウゼン症候群を疑う理由はないように感じます。
辻希美さんは、自身の子供が高熱を出していることを、たびたびブログにアップしていたり、病み上がりの子供を連れて外出していたりと、代理ミュンヒハウゼン症候群ではないか?という噂がたっているようです。
こちらも普段から日常を包み隠さず全て発信しており、自分に注目を集めたい気持ちはありますが、代理ミュンヒハウゼン症候群を疑う理由にはなりません。
映画やドラマにも登場
代理ミュンヒハウゼン症候群が登場する映画があります。
映画『シックスセンス』
ホラー映画。
娘に毒を飲ませ悲劇の母親を演じている代理性ミュンヒハウゼン症候群の母が登場します。
映画『ルイの9番目の人生』
サスペンス映画。
主人公ルイは9回死にかけるのですが、全て母親によるものでした。
映画『着信アリ』
ホラー映画。
水沼美ヶ子という少女の亡霊が生前代理ミュウヒハウゼン症候群だったといわれています。
こうしてみると、ホラー作品で扱われることが多いように思われます。
精神疾患がホラー作品に登場することは多いですが、代理ミュンヒハウゼン症候群も例外ではないようです。
気になる方はぜひ観てみてください。
最後に…
代理ミュンヒハウゼン症候群は特殊な虐待です。
そのため、事件が起これば注目を集めますし、アイデアとして様々な作品に取り入れられたりしています。
実際、代理ミュンヒハウゼン症候群と診断することは、とても難しいケースです。
母は“注目を集めたい“だけなので、甲斐甲斐しく子どもの世話をします。
本気で子どもを心配する姿は、逆に母親の鑑のように見えます。
代理ミュンヒハウゼン症候群は非常に稀な症例ですが、場合によってはいつ死に至ってもおかしくない危ない橋を渡っているようなものです。
日本では、87%の確率で子どもを死に至らしめる可能性がある怖い症状です。
発見は医療関係者が多いかもしれませんが、そうした事例もあるのだと知っているだけで、どこかで出会った時に違和感に気がつくことができるかもしれません。
コメント
うちの母が代理ミュンヒハウゼン症候群(的)です。
でも、相談窓口も、専門家も、医者も見当たりません。
どなたかご存じないでしょうか?
当方静岡県伊豆在住です。
アメバグログのほうに詳しい記事を載せています。
アメバブログ 全ては自己投影 で検索
よろしくお願いいたします。
代理ミュンヒハウゼン症候群であると気が付いている時点で、すでに大きな一歩を踏み出せています。あなた様の年齢がわかりませんが、未成年でない限り、自分でお母様から離れることができるはずです。対処法としては、距離を取り、離れることが一番だと思います。また、相談先ですが、お住いの自治体の大人の障害者サービス関係の部署が窓口になりえると思います。相談するときは、①自分が今何に一番困っているのか②それをどうしたいのか、この2点を明確にして伝えると、力になってもらえるかもしれません。